A-LINE / 不動産売却ガイド
「相続税を一度に払う現金がない」というとき、延納や物納という制度があります。ただし、自由に分割払いへ変更したり、好きな土地を国へ渡したりできるわけではありません。売却や手元資金と比較できるよう、制度の入口と相談の準備を整理します。
編集:株式会社A-LINE
更新:2026年9月24日
先に知っておきたい3つのこと
- 相続税は金銭で一括納付するのが原則で、延納・物納には申請と許可が必要です。
- 延納は年払い、物納は一定の相続財産による納付で、利用条件が異なります。
- 納税期限と必要書類を早めに確認し、不動産の売却準備と並行して検討します。
1.延納は、納付が難しい金額を年払いにする制度です
延納は、相続税額が10万円を超え、金銭で納付することが難しい事由がある場合に、その困難な金額の範囲で申請します。原則として、延納税額と利子税に相当する担保を提供する必要があります。
担保不要の例外は、延納税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下の場合です。「税額が小さいから」「土地が多いから」という理由だけでは利用は確定しません。
延納期間や利子税の割合は、相続財産に占める不動産等の割合や財産の種類などで異なります。固定の利率がずっと続く前提を置かず、申請時の条件と将来の支払いを税務署へ確認してください。
2.物納は、延納でも金銭納付が難しい場合の制度です
物納は、延納によっても金銭で納付することが困難な事由がある場合に、一定の相続財産で納める方法です。納付困難な金額の範囲に限られ、財産の種類や順序、管理・処分できる状態かどうかが審査されます。
対象は相続税の課税価格計算の基礎となった国内財産のうち一定のものです。相続時精算課税の適用を受けた財産など、対象にできない財産もあります。不動産なら何でも使えるという制度ではありません。
収納価額は、原則として相続税の計算の基礎となった価額です。一般の売却で見込める価格と同じとは限りません。小規模宅地等の特例を使った財産は、その特例適用後の価額になる点も比較が必要です。
3.不動産は、境界と権利を先に確認します
物納では、抵当権などの担保権の登記、権利に関する争い、不明確な境界などが問題になります。共有不動産も管理処分不適格財産に含まれるため、売却可能だから物納も可能と考えないでください。
| 不動産の状態 | 相談前に確認すること |
|---|---|
| 借入の担保になっている | 登記事項証明書、残高、担保解除の条件 |
| 境界が不明確 | 測量図、境界確認の状況、隣地との協議事項 |
| 賃貸中 | 賃貸借契約、敷金等の返還債務、権利関係 |
| 共有・権利に争いがある | 所有者、持分、解消に必要な手続き |
| 建物や土地に問題がある | 修繕・撤去・土壌等の調査と整備費用 |
これは準備の入口です。何を整備すれば申請できるか、そもそも対象候補になるかは、税務署と専門家に確認します。申請を見込んで先に解体・分筆などを発注することは避け、必要性と順番を決めましょう。
4.売却・延納・物納を同じ物差しで比較します
比較したいのは、目先の税額だけでなく、使える資金、追加費用、継続負担です。延納で物件を残せても、その後の家賃収入が修繕や空室で減れば年払いが重くなる可能性があります。
売却する場合は、売却費用・借入返済・譲渡所得への税金を差し引いた手残りを確認します。物納する場合は、境界や権利の整理などの費用と収納価額を確認します。
「不動産を残す案」と「一部を売る案」の両方をつくり、納税後の生活費や修繕費が確保できるかまで比較してください。税額や制度の可否は税理士等、売却価格と販売条件は不動産会社、借入の可否は金融機関へ確認する分担が適切です。
5.期限前に行う相談の順番
- 相続税の概算額と、通常は10か月となる申告・納付期限を確認する。
- 預貯金、収入、必要支出を整理し、納付困難な金額を確認する。
- 延納の支払計画、担保候補、物納財産の状態を税務署へ相談する。
- 売却候補の手残りと入金時期を調べ、制度利用と比較する。
- 申請する場合は、期限内に申請書・必要書類を提出する。
必要書類には提出期限の延長制度もありますが、条件や届出があり、申請そのものを後回しにしてよいという意味ではありません。「売れなければ考える」では間に合わないおそれがあるため、早い段階で相談を始めます。
納税方法と売却計画を並行して考えましょう
制度利用を決めていなくても、物件資料と資金表があれば選択肢を比較できます。納税資金をつくる売却計画も参考にしてください。
A-LINEでは、緑区・東浦和周辺の不動産の売却見込みと準備事項を整理します。延納・物納の許可を保証するものではありませんが、税理士等との検討に必要な物件情報と売却案を用意するお手伝いをします。

















